俺は首の後ろで手を組んで、天井を見上げた。
「家に入れないまま帰すのも不自然だし、凪に逢いに来たとしても、颯輔さんって俺らにも逢いたかったとか言いそうじゃねぇか。だから家にあげる以外の選択肢はねぇのっ!」
なんて言うかもう、溜め息つくのも気を遣う。
「つーか、もう颯輔さんはここに来んだよ。決定してんの。どうすんのか10秒で決めろ。特に早坂、お前隠れんなら早くしろ」
リビングのほうへ足を進めながら言うと、早坂は俺を見上げてくるだけで、答えは返ってこない。
颯輔さんが来てどうするかなんて、俺だって決めてない。
けど、凪がいないことはどういう言い方であれ、伝えなきゃならない。嘘でも真実でも、それは俺らが今決めなきゃならない。
「……隠れないって言ったら、どうする?」
「え!? え? ……あれ? 顔合わせても問題ないんだっけ……?」
早坂の返答に焦る有須は、多分、凪の嘘のせいで混乱し出した。正直、俺もちょっとわけ分かんなくなってきてる。
「……会うこと自体に問題はないよ。早坂先生はサヤじゃないし、凪は早坂先生との関係がバレて家を出たわけじゃないから」
だよな。
そうだ、そうそう……それで?
「ただ、なんでこっちに早坂先生がいるのか説明が必要で、凪と逢ってたんだねって話と、じゃあ凪は今不安定なのかって話が出るかもしれないこと。それと早坂先生と凪が関係持ってたってことを、颯輔さんは薄々気付いてるだろうってことも頭に入れてね」
「めんどくさっ!」
思わず口をついて出た言葉に、彗は困ったように笑い、早坂を見た。
「せめて、こっちに転勤になったことだけでも言ってくれてたらよかったんだけどね」
「あー、それは一理あるわ。したら、様子見に来ただけって言えたのによ」
「……いろいろ考えるところがあったんだよ」
関係がバレてるかもしれないから、気まずかったってか? どの口が言ってんだよ。



