「ずっと、ろくに話もせんと、ごめんな? あのことは、俺にも責任があったんに」
「ほ、ほんとにやめてください! あたしもう、気にしてませんから!」
まだ言い足りない。そんな表情の遊志先輩に、あたしは言葉を続ける。
「あの、あたし、確かに大雅先輩のやったことは許せないって思ってます。でも、謝ってくれたし……何よりも、逃げてばかりじゃいられないでしょう? あたしも、大雅先輩も、遊志先輩も」
少しだけ口角を上げると、遊志先輩は目を見開く。
それに答えるように、あたしは眉を下げた。
「聞きました、凪に。大雅先輩と遊志先輩の関係とか、生い立ち。……異母兄弟なんですよね」
「……ふはっ。ホンマ、凪には敵わへんなぁ……」
『同情しろって言ってるんじゃない。大雅のしたことは間違ってる。でも、有須には聞く権利がある』
凪はそう言って、ふたりの話をしてくれた。
聞いて、どうするのか。それは有須が決めることだって、言ってくれた。



