僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「凪に逢いに来たんだ」

「……逢えたよ、ほら。それで? もう帰るだけだね」

「帰らない」


そう言った俺を見つめる凪の瞳が、揺れる。だけどやっぱり凪は笑って、言い聞かせようとするんだ。


俺に。自分に。飽きるほど。


「ただいまって言う場所が、彗にはちゃんとあるでしょ」


……あるよ。颯輔さんの家と、祠稀と有須がいるマンション。2つあるけど……どちらにも、まだ帰れない。


「凪がいないなら、帰っても意味ないよ」


まだそんなことを言ってるのかと、なんのために俺を祠稀と有須に頼んだと思ってるんだって……そう言われても、仕方ない。


「……は、何言って……。彗、いい加減にして」


だけど俺は、凪とずっと一緒にいたいって気持ちはあるけど、凪がいなきゃ生きていけないとか、そういうことを言ってるんじゃないんだ。


「分かってないの? 彗、あたしは、もういいって言ってるの」


――分かってる。


一生そばにいなくていいって。凪は俺がいなくても、俺は凪がいなくても、生きていけるって。


恋にも、愛にもならない。愚かで悲しい、何より強い絆。そんなものはもうないんだと、ちゃんと分かってるよ。


だけど。
それでも。



「……家族だ」


バネが弾かれたみたいに目を見開く凪に、俺は訴えかける。


「俺と凪は、家族でしょ……?」


これっぽちも血なんか繋がってない。ぺラペラの、紙の上で記されるだけの関係。


だけどそれが今さら、なんだって言うんだ。


「ねぇ、凪……俺のメール読んでくれた?」


ビクッと肩を揺らした凪は、読んで、気付いたんだろう。あのメールが、ずっと待っていた俺からの返事だったと。


――分かってるんだ。


本当に。凪の気持ちは、きっと誰よりも。