「ふふっ。ありがとう御座います。じゃあ、お願いします」
「ええよぉー全然! ほんなら行こかぁ。遅なったら、凪に怒られてまうっ」
校門のほうを指さして笑う遊志先輩に続き、体育館から離れる。
「怒るって言うたら、俺、大雅にも怒られるんやろなぁ」
両手をポケットに入れて言う遊志先輩に首を傾げる。
「どうしてですか?」
「えぇ!? アレやん! なんで遊志が有須とふたりっきりで帰ってるの?とか、きっと笑顔で言うねんでアイツ。おーコワッ」
「そ、そんなこと言いませんよっ!」
「あっはー! 照れてるん!?」
ケラケラ笑う遊志先輩に頬を膨らませると、一変して遊志先輩は穏やかに微笑む。
「アカンな俺、ちゃんと言わなね。……大雅と普通に接してくれて、部活にも復帰してくれておおきに、有須ちゃん」
「えっ! や、そんな……っ! 畏まらないでください!」
校門を出るところで、あたしは立ち止まって両手をブンブンと振った。
それでもやっぱり、遊志先輩は目を細める。



