僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「ふふっ。ありがとう御座います。じゃあ、お願いします」

「ええよぉー全然! ほんなら行こかぁ。遅なったら、凪に怒られてまうっ」


校門のほうを指さして笑う遊志先輩に続き、体育館から離れる。


「怒るって言うたら、俺、大雅にも怒られるんやろなぁ」


両手をポケットに入れて言う遊志先輩に首を傾げる。


「どうしてですか?」

「えぇ!? アレやん! なんで遊志が有須とふたりっきりで帰ってるの?とか、きっと笑顔で言うねんでアイツ。おーコワッ」

「そ、そんなこと言いませんよっ!」

「あっはー! 照れてるん!?」


ケラケラ笑う遊志先輩に頬を膨らませると、一変して遊志先輩は穏やかに微笑む。


「アカンな俺、ちゃんと言わなね。……大雅と普通に接してくれて、部活にも復帰してくれておおきに、有須ちゃん」

「えっ! や、そんな……っ! 畏まらないでください!」


校門を出るところで、あたしは立ち止まって両手をブンブンと振った。


それでもやっぱり、遊志先輩は目を細める。