「……バレるはずがなかったって、思ってる?」
思ってる。だけど、頭の中を整理することでいっぱいで、サヤの問いに返答なんてできなかった。
「……凪は、うまくやるつもりだったんだろうね。冬休みが明ければ、何食わぬ顔であっちに戻って、学校に通って、俺にも彗たちにもふつうに接する気だったんでしょう?」
瞬きさえ忘れたように、サヤの顔を食い入るように見つめる。それはサヤも同じだったけれど、あたしだけが冷静さを欠いていた。
彗たちに行き先も告げず、誰にも頼らないまま、あたしはここにいる。
冬休みが終われば、あたしは確かに帰る気でいた。どうしてそこまでバレてるのか意味が分からない。
「凪がこっちに向かってる日の夜、俺は凪に会いに行ったんだよ」
「――!」
何それ。なんで……そんな話は聞いてない……っ!
「……仕事で近くまで来てたから、帰りに寄ったんだ。以前遊びに行った時、凪の様子が少し変だったから」
「変、って……」
焦るな、バカ。
サヤが全部話すまで、下手に嘘をつかないほうがいい。2週間前からこっちにいたのがバレてたって、どうとでも言える。
彗たちが、余計なことを言ってなければ――…。
「あのマンションを出るんだって?」
「……」
サヤがその言葉を口にして数秒後、あたしは視線を逸らした。
余計なことを……。
そう、自分で感じるほど冷静に思った。
例えサヤが突然マンションを訪問したとしても、長時間居座るわけじゃなかったはず。
だから、彗たちはあたしがいないことに適当な理由を付けてくれたはずだと、心のどこかで思っていた。
そしたら、どうとでも言えたのに。
「ねぇ、凪……マンションを出なきゃいけないほど、凪は何から逃げてるの?」
こんな質問をされることもなく、嘘を並べれば済んだのに。
彗たちは、あたしがマンションを出てって、どこかへ消えてしまったと喋ってしまった。
あたしは、また失敗したんだ。



