――…
クリスマスムードはいつの間にか消え、年が明けて、三が日が過ぎた。
最近まで街はイルミネーションで飾られていたはずなのに、今はもう和風な飾りばかり。つくづく変な国だと思う。
カフェの窓際の席でココアを飲みながら、道行く人たちを眺める。この前適当に買った腕時計に目をやると、午後1時半過ぎだった。
……他に何か買うものあったっけ。
人通りの多いアーケード内。その間を縫うように歩き、買い物を始めてから、まだ小1時間程度のはず。
疲れたし、具合もよくない……。
携帯を捨ててから、11日目。あたしはその間、久美とも優太とも、誰とも会っていなかった。
適当にホテルの部屋を取って、食事も出してもらってるけど、体調がよくなくて貧血気味。
疲れが溜まるばかりで、毎日頭痛に悩まされる。目の下のクマも、ファンデーションを塗らなきゃ目立つ。
食事もあまり喉を通らないし、椅子から立ち上がっただけで目眩を起こす。
……寝てるはずなのにな。
――本当に?
……自分は今まで、何してたんだっけって思う瞬間はあるのに。きっとその間に寝てるはずなのに。
本当にあたしはちゃんと、寝てるのかな。もしかして本当は、寝てないんじゃないのかな。
財布に残ってた眠剤を飲み切ってから、1週間も? まさか。そんなことはありえないのに、ずっと起きてる気がする。
「……っ、」
ズキンと頭に痛みが走り、目を瞑る。脈と重なる痛みを暫く我慢して、ゆっくり目を開けた。
……ダメだ。気持ち悪い……。
薬局で買った睡眠導入剤が入った鞄を手に取り、マグカップを持って椅子から立ち上がる。
その瞬間ぐらりと揺れた視界に足へ力を入れたけれど、落としてしまったマグカップの割れる音が頭に響いた。
「お客さまっ! 大丈夫ですか!?」
早急に布巾を持って駆け寄ってくる店員を待たず、あたしは膝から崩れてしまう。
「……すいませ……ちょっと……」
やばい、やばい。どうしよう。
視界が翳む。頭がグラグラして、痛くて、気持ち悪い。
「お客さま、どこか具合でも……」
まるで張り詰めていた糸が切れたように、あたしの意識はそこでプツリと途切れた。



