≪誕生日、おめでとう。≫
淡泊で飾り気のない、彗らしい祝いの言葉。
……今日も変わらず、雪が降るだろう。
12月24日。
あたしの誕生日はいつだって、最悪なことにホワイトイヴだ。何が最悪かって、自分でもよく分からないけど。
イヴだろうがクリスマスだろうが、どっちも幸せの象徴みたいで好きじゃない。
必ずしも喜ばなきゃいけない日みたいで、なおかつ生まれた日だなんて。
倍になるお祝いムードは、3年前から気分の悪い日に変わった。
それを彗は知ってるはずなのに、おめでとうだなんて。
まるで、隣に。一緒にいるみたいに。あたしがクリスマスも誕生日も好きじゃないことを知っていても、祝うと言われてるようで。
それが当たり前だと言われてるみたいで。
「……っ」
虚しいのか、悔しいのか。自分の感情も理解しないままの状況で、あたしは1番最初に送られてきたメールを開いた。
ほぼ1時間置きに送ってきたメールに、1通だけお祝いを紛らせて。他のメールはどんな内容なんだと、読んでやりたくて。
帰ってきてとか、どこにいるのとか、そんな内容だったら腹の底から大笑いしてやると思いながら、開いた。
「……は?」
そう言うしかないほど、彗らしくない文面だった。びっしりと埋まった、意味不明の内容。
……何? おじさんとおばさんと暮らし始めた頃のことなんて、今さら話す必要がある?
最後まで読んでも意味が分からなくて、2通目も開いてみる。
≪げんきだよ。凪は?≫
1通目と同じ始まり方。内容は、中学の入学式が近いと思わせるもの。
「――…」
ボタンを押す指が止まる。3通目の内容は未だに分からない。だけど読めば、思い出す気がした。
「……な、に…」
震える指で開いた3通目は、やっぱり同じ始まり方だった。
――本当に、バカなんじゃないの? いつからそんなにバカになったのよ、彗。
誕生日のお祝いだっていらないのに。こんなメールはもっといらない。
「なんなの……っ!」
本当に今さらだ。遅すぎる。



