僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「ご機嫌ななめみたいだね、祠稀」


教室で見せた笑顔となんら変わりない、張り付いた笑顔で近づいてくる枢稀。


俺は視線を逸らし、枢稀の横を通り過ぎようとしたのに、それは叶わない。


「また、夜に出歩いてるらしいね?」


その言葉は足を止めるには充分で、話したくないという気持ちを消すには効果覿面だった。


俺は止めた足を枢稀に向け、睨む。


「は?」

「またそんな顔して。どうなっても知らないよ?」

「黙れ犬が」


テメェこそ、明日の我が身でも按じてろ。


呆れたように鼻で笑う枢稀を、思い切り殴ったらどうなる?


こんな奴、殴る価値もねぇけど。


「また、昔みたいにされたいの?」


ドクンと、ひと際大きく鼓動が波打ったのは、昔を忘れていないという事実のよう。