僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ




「――なんだよ凪。仲良くなんて、無理だかんな」


HRが終わってすぐ、自販機に向かった俺の後ろを黙ってついてきた凪に言うと、ムッとされる。


「そんなこと言わないし」

「ならいいけど」


ココアを買って、釣銭を取っていると凪が「あ!」と声を出す。見ると、携帯を開いて嬉しそうにしていた。


「なんだよ、男か」


にやにやしながら言うと、凪は携帯を胸に押しつけた。俺を見つめる瞳は、なぜか自慢げ。


「教えな~い」

「はぁ!? 教えろ!」

「今度、絶対連れてくるから、それまで内緒っ」


携帯を手に、嬉しそうに教室に戻っていく凪を見ながら思う。


なんのために俺についてきたんだよ。メール送ってきた野郎のが大事ってか。


「……クソ。アホか俺」


ぐしゃっと乱暴に髪を掻き上げて、深呼吸してから前を見据えた。


落ち着くはずだった気分は、数メートル先で俺を見てる奴のせいで最悪になる。