僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「諦めたく、ないんです……っ自分のことも周りのことも、いろんなこと、頑張りたくて。欲張りかもしれないけど……」


涙を拭いながら、めちゃくちゃな言葉を必死に紡ぐ。


「だから、だからっていうか……嬉しいです。志帆先輩と……話せて」


やっぱりうまく言えない。伝えたいことの半分も、きっと言葉にできてない。


……変な話だよね。


あたしは、言葉で人は殺せると思ってた。言葉なんて無意味で、口にしたって伝わらないものだと思ってたのに。


いつから、こんなにも伝えることが大事だと思うようになってたんだろう。



「……バカじゃないの」


そう言った志帆先輩がどんな表情をしたのか、視界が滲んでよく見えない。だけどとても弱々しく掠れていた声だったから、想像だけはできた。


「……バカで、いいです」


志帆先輩にされたことを忘れたわけじゃない。仕方なくない。許されるわけじゃない。けど、あたしはそれでもいいとあの日確かに思った。


傷付けられても、傷付けてしまっても。恨んで、妬まれてしまっても。負けたくないし、諦めたくないって。


この世界で生きていかなければならないと、生きていこうと、決めたの。


「これがあたしだから……バカだと言われてもいいんです」


泣いてばかりいられない。傷付いてばかりいられないから。1歩ずつでいいから進んで、前を向いて、自分が信じる道を歩んで行く。


それがあたしの強さだと、今なら言える。


「……志帆先輩」


最後の涙を拭って、ゆっくり頬を緩めた。


「今度、気になる人との話、聞かせてくださいね」


自分と相手の過去を忘れるのではなく、そっと胸に留める。


そしたらきっと、あたしも志帆先輩も同じ間違いはしないはずだから。


「……進展があったらね」

「はい、ぜひっ」


過去が変えられないのならば、今を。変化を望むのならば、今この瞬間からもう一度始めよう。


そう思えば何度だって、人は生まれ変われる気がした。