「緑夏ちゃんと真剣に交際してますっ!!」
突拍子もなく、それこそ朝食の席でいきなり告げてきたサヤに、あたしの世界は360度ひっくり返る。
新学年、新学期を間もなく迎える、春休みの出来事だった。
「……は?」
さすがのあたしも、笑顔なんて作れるわけがない。
……何? ちょっと、待ってよ。
ここ1ヵ月、セックスもしてなければ、たいして会話もしてなかったじゃん。ギクシャクしてたように見えたのは、気のせいだとは思えない。
あたしが必要以上にサヤに甘えて、緑夏ちゃんを妬かせたし。そのせいで喧嘩だってしたと思ってたし。
でっち上げだけど、緑夏ちゃんにサヤの悪いところを言ったり。サヤに緑夏ちゃんが嫌いだと言ったこともあるのに。
あたしは、うまくやったんじゃないの?
「ずっと、言おう言おうと思ってたんだ。だけど凪、ここ1年不安定だったでしょ? だからずっと言い出せなくて……」
できることなら一生言ってほしくなかった。そんなことは頭に浮かぶのに、あたしはテーブルの下で拳を握るだけ。
「でも9月あたりから、元気っていうか……こんなこと言ったら、凪は怒るかもしれないけど。凪は気が強いけど寂しがりで……我慢して溜めこむから。だから、本音を見せてくれるようになったのが嬉しかったんだ」
「……、」
まさか。
あたしが甘えたのも悪口を言ったのも、壊してやろうと思ってしたことなのに……。
本音を見せてくれたことが、嬉しい?
「でもやっぱり心配で、不安で。俺と凪はずっとふたりだったから……緑夏ちゃんと交際してることを言うのにためらって。言うと決めたけど、1ヵ月くらい前かな」
いよいよ目眩がしてきた。自分が浮いてるのか、自分以外のものが回転してるのか。歪む視界に苛立つ。
あたしじゃなくて、ふたりの仲を歪ませてよ。
「もう少し考えさせて欲しいって……緑夏ちゃんも思うところがあるだろうから、ふたりで話し合って距離を置いたんだ。それでもやっぱりお互い気持ちは変わらなくて、凪に言おうって」
ありえない。
あたしはまた、自分で自分の首を絞めてたんだ。



