僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「……」


――ああ、もう。


自分の馬鹿さが、ガキ臭さに腹が立つ。


リビングへ続く廊下を見て、ゆらりと体を起き上がらせた。


思いのほかちゃんと動いてくれた体は、玄関近くにあるトイレへと向かう。



『……生理になっちゃって』


クッと喉を鳴らしたあと呟いた言葉は、まるで他人の声みたいだった。


「なってねぇじゃん」


トイレの角にある、ナプキン用のゴミ箱。そこに在るはずのモノは、影も形もない。


『今日は社員たちと飲み会でね~』


どうりで早々と風呂に入って、なおかつご機嫌だったわけだ。飲み会すら嘘か。


ふたりで仲良く帰宅して、あたしが早坂先生の家に行ってる間、シーツを汚すくらい激しいことでもしてたわけね。


――いつもだったら。早く帰ってくるなら、真っ先にあたしへ教えてくれていたのに。


言わなかったということは、知られたくなかったということで。


あたしが、邪魔だったってことでしょう?


ふたりになりたくて。今、廊下にお互いの服の一部が落ちてるみたいに。


我慢できず、獣のように。お互いを貪りたくて仕方なかったんでしょう?



叫びたかった。


頭を抱えて、髪の毛を掻き毟って、声が枯れるまで泣き叫びたかった。


あたしがひとりの女で、ただの男を好きになっていたら、そうしたと思う。


だけど、本当にいらない僅かな理性がそれを止めた。


行き場のない感情をトイレにでも吐き出せたら楽だろうけど、それは鉛のように重く、分離を妨げる楔となる。