僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「んー……ただいい子ってわけでもないか? それなりにハメ外すし、勉強も苦手ってとこかねー。輪から飛び出さず引っ込まず。何かに特化してるわけでもないけど、苦手なことは自然と周りに認識させてる。調和させることも得意か?」


……何を、言ってるんだこの人は。


出逢って1時間も経ってないのに、なんで丸裸にされた気分にならなきゃいけないの。


「勉強うんぬんの話じゃなくて、無駄に賢いんだな」

「……早坂さんて、何者ですか」


まるでテレビに向かって独り言を言うみたいに。観察して、結果を述べるみたいに。淡々と、ズケズケと言ってくれる。


「早坂先生」

「……はい?」

「何者ですかって訊くから。早坂先生、が正しいかな」


……先生?

悪いけど、どう見たって先生と呼ばれる職業についてるようには――…。


「心理カウンセラー……?」

「さすが、早いね。そう、お悩み相談室」

「似合わない」


間髪を容れず言うと、早坂…先生は目を丸くしてから吹き出す。ゲラゲラと笑う声はバルコニーまで届いたのか、サヤが不思議そうに振り返っていた。


「胡散臭いほうがいいだろ。君にとっては特に」

「……また仮面でも被るって言いたいんですか」

「そりゃあね。俺がこんなんじゃなかったら、もっと愛想よく、にこにこしてただろうなって自分でも思うだろ? うまいことごまかして、核心には触れさせないようにできる。そういう自信もどっかに持ってるだろ」

「……」


本当に、なんなんだろうこの人。


当たってる。

そんなこと考えてなかったけど、言われれば確かにできると思ってしまった。


「でも残念。俺はそう簡単に騙されない」


意地悪く上げられた口角に、あたしは溜め息をつく。


「腹立たしくて、反抗したくなります」

「それが俺のやり方だからね」


クッと喉を鳴らした早坂先生は、やっぱりカウンセラーには見えなくて。でもどこか、心地良さを感じてる自分もいた。