優太のことがもう、好きじゃなくなってる。
そうじゃない。
あたしは最初から、優太など好きじゃなかった。
今、優太のことが好きかと訊かれたら、好きだと答える。だけどそれは人として、友達としてならの話だ。
漠然と、この人はあたしが好きなんだと。あたしは求められているんだと。どこかでほっとしていた。きっとそれを、恋だと勘違いして……。
何が、あたしをそうさせてしまったんだろう。
好かれることへの優越感? 単なる異性への興味? そういう気持ちがなかったわけじゃない。だけど、根本にあるものは別のもの。
――寂しかったから。求めてほしかったから。
どうして?
だって、サヤとの時間が減ったから。
……そうだよ。それが何。別にいいじゃない。
寂しいと感じて、求めてほしいと思って、何が悪いの。ふつうのこと。なんてことない。こんなの――…。
「……気のせいだよ」
気のせいに決まってる。サヤが触れた個所から熱くなるのも、サヤを考えれば惑うほど胸が温かくなるのも。
笑い合う緑夏ちゃんとサヤを思い出せば、切なさを穿って嫉妬心が芽生えるのも。
気のせい。気のせい。
だって、これじゃあまるで――…。
「違う!!」
今この家には誰もいないのに、何も聞こえないように両耳を塞ぐ。
「やだ……やめて、違う……!」
音がする。
頭の中で何かがものすごいスピードで、組み立てられる音。
分からず放置してたパズルが、核の部分を見つけただけで完成していくみたい。
――…好きだよ。
そう、当たり前じゃない。好きに決まってる。だけどそういう好きじゃない。
「……嘘だ……」
サヤのことを……男の人として、好きかもしれないなんて。



