そっとドアを開ける。テレビから漏れる音とふたりの声が重なり耳に入った。
……キッチンか。
ドアから数歩進めば、右手にキッチンがある。案の定進んだ先に、ふたりの姿を捉えた。
サヤがお皿を洗って、緑夏ちゃんがそれを拭いてる。楽しげに、談笑しながら家事をしてる。
たったそれだけの光景に全身が粟立った。ザワッと、足元から突風が吹いたみたいに。
クーラーとは別の冷気が、あたしの体中に纏わり付く。
「あれ? おはようっ」
「わ! 起きちゃった!?」
「あ……うん……」
二の腕をさすると、サヤが「寒い?」と言いながら手を拭って歩み寄ってくる。
寒くなんてない。
だって、胸が焦げ付いたみたいに熱い。
全身が粟立つと同時に、体の内側で爆発したような衝撃も受けた。
「凪、今日は学校休みな? やっぱり顔色よくないよ」
サヤの手が頬に触れた途端、ビクッと肩を跳ねさせてしまう。
「凪……?」
「あ、ビッ、クリした……冷たかったから……」
――違う。
これは、ずっと得体の知れなかった感情は、独占欲なんてものじゃない。
サヤと楽しげに話す緑夏ちゃんに、悋気してる。
ドロドロとした、
燃え盛るような嫉妬――…。



