「最近凪は甘えん坊だねぇ~。まあ俺はものすごく嬉しいけどねっ!」
普段と変わらないその喋り方は、あたしを安心させた。
甘えたい。
もっと、もっと。
そばにいて。離れないで。
……寂しい。
理由も分からずただ、どうしようもなく寂しさが募るの。
優太では埋まらなかったのに、変なの。
こうやってサヤと触れるだけで、吐息を、鼓動を、体温を感じる距離にいるだけで、一瞬で寂しさが埋まるの。
……どうしてだろう。
嬉しいのに何かが引っかかって、切なさを滲ませる。
「……」
部屋を照らす陽の光に目を細め、自分が眠っていたことに気付く。
気だるい体を起こすと、なんとなくまだ朝だと感じ、時計を見ればその通りだった。
……サヤに寝かしつけられて……2時間も経ってないかな。
無意識に乱れた髪を撫でつけ、ベッドから脚を出す。
時刻は7時過ぎだから、サヤも緑夏ちゃんも起きてるはずだ。
眠りにつく前の記憶が曖昧だけど、サヤはずっとそばにいてくれた気がする。
それなのにまた、たいして眠れなかった……。いったいあたしの体はどうなってるんだろう。
のろのろと部屋からリビングへ脚を運ぶと、笑い声が聞こえた。笑ってるのだから当たり前だけど、とても楽しげな声。
横幅30センチほどのカットガラスが左右に2本並ぶデザインのドアの前で、リビングの様子を窺うけれどふたりの姿は見当たらない。



