僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



しゃがみ込んで大きい破片を拾い上げると、足音とドアの開く音。


「凪! 素手で触っちゃダメだよっ」


顔を上げる前に聞こえたサヤの声は、少し掠れていた。


「おいで。破片踏まないようにね」


起こしちゃってごめん。と言えなかったのは、差し出されたサヤの手があたしの胸を熱くするほど、温かかったから。


「派手に割ったねぇ……怪我しなかっ、」


引き寄せられたままサヤの胸に飛び込むと、心配そうな声が痛みを押し退けて頭の天辺まで届く。


「……凪?」


返事の代わりにぎゅっと抱き付くと、サヤは柔らかくあたしの背中に手を添えてくれた。


そのまま髪を指で絡め取るみたいに、頭を撫でてくれる。


「凪、顔見せて」


首を左右に振ると、サヤの衣服に鼻先が擦れた。


「……こんな時間に起きて……眠れなかった?」

「……」

「そう……。じゃあ、もっかいベッドに入ろう。大丈夫、眠れるよ」


ふわりと揺れる空気は、サヤがあたしを抱き締めてくれた証拠。


耳元で囁くサヤの声には、温もりも優しさも心配も愛しさも全部全部含まれている。


サヤはあたしが欲しいもの全部、惜しげもなく与えてくれる。


「ちょっと待ってね。グラス片付けなきゃ、危ない……んだけどまぁ、後でいっか」


離れたくないと言わんばかりに強く抱き付くと、サヤは困ったような笑いを零す。


後頭部をグシャグシャと撫でられて、次の瞬間には抱き上げられていた。


サヤの流れるような動作はあたしも同じで、腰に回していた腕は気付けばサヤの首に回っている。