「ま、いいじゃん。ゲームでもしよーぜ」
何もよくないんだけど。しかもまたゲームとか、レパートリーなさ過ぎ。
テレビの前でゲームの準備をする優太の背中を見て、思わず溜め息が出る。
「……いつまで怒ってんだよ。ごめんつったじゃん」
もはや電話のことなんてどうでもいいし。なんで分かんないかな。
「別に怒ってないってばー」
めちゃくちゃ茶棒読みだと思いながら、あたしは携帯に視線を落とした。
「つーか……彗、彗って、しつこくね? 今俺といんじゃん」
何それ。他の男のことは考えるなとか言いたいわけ?
「……彗は別格って話したじゃん」
溜め息混じりに言うと、優太の眉をみるみる吊り上がっていく。
こういうことがないように、付き合う前に彗のことは話したのに……。
ヤキモチ妬かせようとするくせに、彗のこと悪く言われるのは嫌なんて、あたしもつくづく勝手だけど。
「凪ってけっこう可愛げないのな」
それでも俺のことだけ見てろ。くらい、サヤなら言うのに。
サヤならあたしを不機嫌にすることなんてないし、彗のこと分かってくれて、でもちゃんとヤキモチ妬いてくれて……って、またサヤと比べてる。
「……ごめん」
サヤと比べて劣ってるなんて当たり前だ。それに嫌気が差して、空気を悪くするあたしが悪い。
「……ゲームじゃなくて、どっか行くか」
……うん、また突っかかってきたらムカつくけど、こういう順応が早いとこは好き。
「とりあえずアイス食べたい」
「おい、コンビニで済むじゃん!」
笑顔に戻った優太を見て、やっぱり嫌いにはなれないと思った。
せっかく付き合えたんだから、大事にしたい。
――だけどそういう気持ちは喧嘩するたびに薄れて、気付いた時にはもう、色んなものが手遅れだったんだ。



