――あの日、自分の中でサヤに対する独占欲があると気付いた時。
ほんの少しでいいから、素直になろうと思った。
あたしは緑夏ちゃんのことが嫌いなわけじゃないし、邪魔者扱いはしたくない。
独占欲だって消えはしないのだから、それに支配されない程度に、あたしがサヤに対して素直になればいいだけだ。
素直になればその分だけ、サヤからも温かさが返ってくる。
彗がいた時は、何も我慢するものなんてなかったし、あたしの本音を聞いてくれる彗がいれば充分だった。
だけど彗がいなくなればまた、素直じゃない可愛げのない自分に戻って。仕事で忙しいサヤの迷惑にならないように黙々と家事をこなして、ひとりで平気アピール。
そう決めたのは自分なのに、甘えてはいけないと言い聞かせていたのも自分なのに。
独占欲を感じるなんて、自分勝手もいいとこだ。
あたしはきっと、
多分、とても寂しがりで。
あたしが思ってる以上に、あたしの心は弱くて。
何かを我慢して、いつかそれが爆発してしまった時。
誰かにぶつけて、誰かを傷付けてしまったとして。
もしそれが大切な人だったら、そんなのあたしが悪いじゃない。
寂しかったとか、かまって欲しかったとか、そばにいてほしかったとか。
口にも行動にも出さずにいたくせに、我慢しきれなくて爆発したって、相手はあたしの気持ちを知らなかったんだから。
それを分かってて素直にならないなんて、馬鹿じゃないかと思った。
口に出さずとも、サヤはあたしの本音をひとつも見落とさず気付いてくれるなんて、思い上がりでしかない。



