僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「わっ!?」

「何落ち込んでんの? ヤキモチ?」


後ろから抱き付いたあたしはサヤの首に腕を回し、くすりと笑う。


するとサヤは僅かに振り返り、子供が拗ねるように口を尖らせてあたしと視線を交えた。


「……凪は」

「……」

「俺のモノなのにぃぃぃい!」

「ぎゃーーーっ!!」


形勢逆転とでも言うのか、一瞬の隙に、からかっていたはずのあたしがサヤに抱き付かれる。


「ちょ、分かった! 分かったから!」

「どこの馬の骨かも分からない奴に、凪はあげません!」


ガッと肩を掴まれ、ふたりの間に隙間ができる。


真剣な表情をしているサヤには悪いけど、馬の骨ってどういう意味だろう。


「ていうか別に、嫁に行くわけじゃないんだから……」

「ヤダー! 凪のいちばんは俺じゃなきゃダメ! そうじゃなきゃ交際なんて認めません!」


親バカにもほどがあるけど、顔がニヤけるあたしもはたから見れば相当ファザコンだと思う。


「馬鹿じゃん。当たり前なこと言わないで」

「……やばい泣く」

「はい嘘泣きー」

「ヒドイ!」


けらけらと笑いながら、視界の端に気まずそうな緑夏ちゃんが映る。


「……ね。緑夏ちゃんも嘘泣きだと思うでしょ?」

「え!? や、私は……」

「凪ひどい! 緑夏ちゃんは分かってくれるでしょ!?」

「え!? いや、仲良しだと思います! ふたり共!」

「「……」」


「何それぇ~!」と笑うサヤ同様に、あたしも緑夏ちゃんの言葉に吹き出した。