僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「……眠るまでいてくれる?」


やっと発した言葉は、久しぶりの甘え。けれどそれはサヤにとって嬉しいことだったらしく、緩みきった笑顔を向けてくる。


「かわい~」


馬鹿じゃないのと言いたかったけれど、やめておいた。


自分が今甘えていることなど重々承知だし、サヤがそばにいてくれるなら何を言われてもよかった。


指が絡まる手を顔の近くへ引き寄せれば、サヤの人差し指はあたしの頬をくすぐる。


視線だけで見上げると、今にも溶けそうな笑顔が向けられていた。


……奪われたくない。


そうだ。これは、彗がうちに来た時に感じたものと同じだ。


サヤが彗の手を引いていただけで嫉妬したのだから、あの時のほうがよっぽど独占欲は強かったと思うけど。


でもなぜか今の方ほうが、ドロドロしてる気がする。


「……サヤ」

「ん? なぁにっ?」

「……」


聞こうと思ったのに、その意思は糖分でしかできてないような甘い声に削がれた。


「……なんでもない」


いいや、今は。


今この瞬間、サヤから降り注ぐ優しい視線と、頬をくすぐる指の温度を感じられれば。


きっと起きたら、このドロドロした感情も消えてる。


「おやすみ、凪」


だからまた今度聞こう。


今は、瞼を閉じたあたしの頭を緩く撫でる手に、心地よさだけ感じてればいい。


あたしは今日も、サヤのおかげで眠れるのだから。