僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「んーっ! でもそっかぁ。あたし、好きになる人は優太と違うイメージだったな」


両腕を上げて背筋を伸ばしながら後ろのソファーへもたれると、緑夏ちゃんは「タイプってこと?」と聞いてくる。


「そ。優太はあたしの理想じゃないって、久美とも話してたし」

「そっかぁ。でも理想ってあるよね! 凪ちゃんの理想ってどんなの?」

「んー……アホっぽくて、でもやる時はちゃんとやって。優しくて、自分が信じた道を行く人かな」


テレビに映る若手俳優の髪色が目に入り、サヤと似てると思ったことで、ああやっぱりなぁと感じる。


「身近で言えば、サヤみたいな――…」


と言ったところで慌てて口を手で塞ぐ。同時に隣に座る緑夏ちゃんを見ると、目が合っただけだった。


「ん?」

「……ううん。なんでも……」


視線を逸らし、興味のないバラエティー番組を見る。


「でも結構さ、理想と好きになる人は違う時のほうが多いよね」


そんな緑夏ちゃんの言葉にぎこちない相槌しか打てないほど、頭は混乱していた。


気を付けなきゃ……違う、そんなことじゃない。


……聞こえなかったのかな? ううん、そんなはずない。誰のことか分からなかったら、それ誰?って聞いてくるに決まってる。


なんで、平然としてるの?


あたし今、パパって言わなかったんだよ?


……あたしは緑夏ちゃんの前で一度だって、“サヤ”と呼んだことはないのに。



「……緑夏ちゃん」

「ん? ……どしたの?」


あたしとサヤの秘密を……


本当の親子じゃないって、知ってるの?