「ところで、優太くんとはどうなの?」
あのカラオケの日から数日経った夜の10時。
サヤは大抵日付が変わる頃に帰ってくるから、この時間になるとあたしは緑夏ちゃんとお喋りに没頭する。
最近はもっぱら、あたしの恋愛話だ。
「えー……別に。特に何もって感じ」
「あははっ! つまんなそうな顔してる」
……そう。ちょっとつまらない。
もしかして告白されるかなーと思った自分が馬鹿らしい。だけど気のせいだと思うほど、あたしは疎くない。
「なんかさぁー、ちょっとドキドキしたのに、何ふつうにしてんの!?って感じなんだよねー」
「それってやっぱり、優太くんのこと好きなんだと思うけどなぁ」
「……そうかなぁ」
「だって、何かしてほしいんでしょ? 他の男の子と比べてどう?」
緑夏ちゃんの声も表情も、楽しげだ。
あたしは優太が嫌いなわけじゃないし、むしろ好きなほうだと思う。
他の男子と比べてみるなら、優太に何かアクションを起こされたほうが何倍も嬉しい、って答えになる。
「……うーん。これが好き、かぁ」
「不満?」
不満というより、違和感。
小学の頃に好きだなーと思う男子はいたけれど、特にその先に行くことはなかった。
今でさえ同じ中学に通って会話することはあるけど、ふつうに好きだと思う。
それ以上でもそれ以下でもないことが、友達なのかな。
でも考えてみれば、優太とはそれ以上が有りだし、それ以下なんて御免だと思う。
友達であり続けることが、あたしは嫌なのかな。だとしたらそれが、好きだということなのかな。
「……なんか、好きってもっと、ガーッ!ってなって、ワーッ!ってなるのかと思ってた」
「あははっ! ……んー、でも恋の仕方なんて人それぞれじゃない? ゆっくり気持ちが育って、ふとした瞬間に気付くとかも有るんじゃないかな」
言って優しく笑う緑夏ちゃんは、そういう恋をしたのかな。



