僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



……まあ、サヤに憧れて入社までしたんだから、認められて嬉しい……もんだよね? あたしにはよく分かんないけど。


「まあ頑張ってよ。目指せ、女副社長!」

「えぇ!? 気が早いよ!」

「あ、なる気はあるんだ」

「きゃー! 秘密にして! 社長には黙っててください!」

「もしかして社長の座まで狙ってるとか?」


にやにやと笑えば、緑夏ちゃんは顔を赤らめて首を左右に振る。


「そそ、そんなこと思ってない! 私は社長の下で一生働く気だから!」

「いいよ、そんなに必死に否定しなくても」

「違うーー! ほんとに違うから! そんなこと思ってない!」


どうかな、なんて言うと。アタフタする姿がおもしろい。


10以上も歳が離れているけれど、姉妹とも友達とも違う雰囲気は、居心地悪いものではなかった。


「あ、そういえば緑夏ちゃん。午後から雨が降るらしいけど」

「やだ嘘っ! 洗濯物!!」


慌てて立ち上がった緑夏ちゃんは、家事の一部を手伝ってくれる。最初は断っていたんだけど、今は素直に甘えることにした。


「じゃあ緑夏ちゃん、行ってくるね」

「うん! 傘忘れないでね。いってらっしゃいっ」


だからこうして、家事を任せて早い時間から遊びにも行けるようになった。


「いってきます」


慣れ過ぎて忘れていた。ひとり家で過ごすこと、ひとり黙々と家事をこなすこと。やると決めたのは自分だし、嫌いではなかったけれど。


彗といた時みたいに、ひとりではなくふたりで支え合えるなら、それに越したことはないと、多分きっと素敵なことだと思い出した。


少しおっちょこちょいで、明るい緑夏ちゃんが来たことで、家は明るくなった気がする。


――いや、確かに、確実に明るくなっていた。