僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「じゃあ、何? 別の話? それともまた、別の人をここに住まわせたいって話?」

「う……はい……すみません……」


何でいちいち、あたしに許しを請う必要があるんだろう。


なんて、サヤの仕事仲間と言えど結局は他人だし、今のところ、思春期だからとかも考えてるんだろな。


「別にいいよ、あたしは」


垂れ下がっていた頭が、勢いよく上げられる。目を見開いて、驚いた顔をして、何をそんなに心配してたんだろう。


「ほっ、ほんとにいいの!?」

「いいよ。サヤの仕事のパートナーなんでしょ。ていうか、なんであたしに聞くかな」

「ありがとー凪っ!!」

「ぎゃあ!」


突然抱き付かれて、あたしの心臓は驚く。


あまりにも勢いがあったものだから後ろのソファーに背中をぶつけ、痛くはなかったけどサヤを引き離した。


「分かったってば!」

「いい子~!」

「もうっ、ウザい!」


さすがに中学生になると、今まで平気だったサヤからのスキンシップがこそばゆくなる。


なおかつ自分の顔が赤くなっているのが分かって、さらに体温が上がった気がした。


「はぁ~、よかったぁ!」


どれだけ緊張してたのか、サヤは大きく息を吐いて笑顔を見せる。


あたしは乱れてもない髪を撫でつけ、ドキドキとうるさい心臓を静めるのに必死だ。


「……で、今度はなんて人なのさ」


サヤは笑顔のまま、暫く一緒に住む人の名前を告げる。


「緑夏ちゃん」


――ザワッ、と。突風が吹いたような。胸騒ぎにも似たものが、あたしの奥底を駆け巡った。


「……え? ……りょ、なんて?」

「元橋 緑夏ちゃん」

「ああ……女の人、だよね?」


ざわつく胸にひとりで困惑しながら、理由は分からなくて。あたしはただ、サヤの言葉に耳を傾ける。