『……凪、あの……あたしたちも……いるからね?』
『もっと頼れよ。寂しくなったら、俺らがいんだろーが』
『……うん。そうだね』
頼られてなかった。信じられてなかった。
そんなの、俺と有須がバカみたいじゃねぇかよ。
こっちは全開で心開いても、お前らはふたりして俺らを拒否してた。そんな虚しいことが、他にあるかよ。
「……彗、お前言ったよな。俺が、お前らには関係ねぇって言った時、“俺たちは、祠稀の何?”って。……そっくりそのまま返してやるよ」
俺を見つめていた彗が、眉を寄せる。
……分かってんだ。分かってても、腹が立つんだよ。
「その次の日も、廊下で上級生をボコってた俺に言ったよな? 俺の首に手ぇ置いて、一瞬だけ力込めて。凪に止められたけど、覚えてんだろ。俺の首絞めようとした後だよ」
ギュッ、と。
俺の腕を掴んだまま、そこへ顔を埋めてる有須が手に力を込める。
僅かに首を振る仕草が、言葉の代わりに「やめて」と言っていた。
それでも俺は眉を寄せる彗に言い放つ。
「嫌いになりそうだ」
「……」
「あん時の俺もおかしくなってたけど。彗、お前だってそうだろ。俺の首に手を置いた時、何考えてた? 誰のこと、考えてたんだよ」
「……」
言えよ。たったひと言じゃねぇか。
凪のことを考えてたって。
俺を止めるためじゃない。凪が傷付くから、キレたんだろ。凪を傷付けたから、嫌いになりそうだったんだろ。
彗は眉間に深くシワを刻み込んで、押し黙る。俺はそれに盛大な溜め息をついて、額に手をやった。



