僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



狂人だと言われる理由も分かる。でも颯輔さんだからこそ、できたことだとも思う。


「こ、このマンション……」


有須がぽつりと呟き、俺は弾かれるように顔を上げた。いつもなら俺のほうが黙ってないのに、今日は有須のほうがよく喋る。


……そうだ、このマンション。


「凪の、おじいちゃん所有だって言ってたよね? 結婚祝いに、名字からドリームマンションって……付けたって言ってた」


そうだよ、なんで祖父じゃなくて、颯輔さんが凪を引き取ったんだ。


「……凪の祖父は、悪い人じゃないよ。不動産会社の取締役だったかな……ひとりで旭さんを育てて、仲が悪かったわけでもない。いい意味で自由にさせて、悪い意味で放任だったんだ」


彗はそう言いながら、自分の前髪を掻き分けた。そういえば、出逢った頃より随分髪が伸びた気がする。


「旭さんが病気した時も看病してたし、凪のこともかわいがってた。何より颯輔さんっていう跡取りができることに喜んでた。そのせいで気が逸って、結婚祝いにこのマンションを準備してた」


……早いな。


彗の話を聞きながら頭の隅で、時間の経つ早さを身に感じていた。


出逢ったのは桜が咲いた春なのに、今は雪が降ってるなんて。


俺が彗の背後にあるベランダを見たように、彗は俺と有須ではなく、背後に視線を送った。4人で、幾度も飯の準備をしたキッチンがある。


騒いで、喧嘩して、でも絶対最後は4人で笑っていた場所を見ながら、彗は何を思ったのか。