僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「颯輔さんは俺たち3人家族のことを、旭さんはシングルマザーの悩みをお互い相談してた。恋人同士になることに、時間はかからなかったみたいだよ」

「……颯輔さんのご両親は、知ってたの?」


有須の質問に、彗は僅かに口の端を上げながら頷いた。


「……もちろん。俺の父さんを勘当したくらいだから、颯輔さんも旭さんとの付き合いを反対されてたみたい。でも、颯輔さんは諦めなかった。凪もすごく懐いてて、高校卒業したら同居する話も、結婚する話も出てたんだ」

「……」


俺は、胡坐を掻いた脚に視線を落とす。サラリと青光りする髪が頬を撫で、予想できる言葉の続きに耳を傾ける。


「でも、颯輔さんが高校卒業した頃に、旭さんは病気で亡くなっちゃった。凪ひとり残して」


病気か。
真っ先ににそう思った。


そして次に、お互い本当の両親がいない彗と凪。その次に、本当の親子じゃない凪と颯輔さん。ふたつの絆の強さを、お互いを想い合うその強さを考えた。


きっと俺の想像の範囲など、とうに超えてるんだろうけど。


「……凪はぼんやりとしか覚えてないらしいけど。動かない旭さんを前にして、泣き喚いたんだって。次の日も次の日も、葬式の時も、葬式が終わった後も。それをそばで見ていた颯輔さんだって、泣きたいはずなのに。……凪を、守らなきゃと思った、って」


ほら、やっぱり。俺の想像なんか、遙かに超えてる。


「颯輔さんは、自分の子供でもない、まして結婚してもない旭さんの子供を19歳の時に引き取ったんだ。期待された未来を捨ててね」


どうしてそんなことができるんだとか、ふつうじゃないとか、どこの聖人君子だと聞いたとしても、彗はひと言で済ますんだろう。


“颯輔さんだから”


分かる、気持ちは。俺だって2年前、“ヒカリだから”、そう思ったことが何度もある。