◆Side:祠稀
『凪と颯輔さんは、本当の親子じゃない』
欠けていたピースが、埋まっていく。ゆっくりと、ひとつ、またひとつ。彗の言葉で埋まっていく。
凪と颯輔さんが本当の親子じゃないなんて、少しも思わなかったわけじゃない。でも、そうであってほしくないと思っていた。
何か、絶望に似たものが迫ってくる感じで。彗の言葉の続きを聞きたくても、それを聞いてしまったら何かが終わってしまう気がして。
姿形のないものに、恐れた。
一度目を伏せた彗が、再び俺と有須に視線を戻して口を開く。
――…居心地が悪い。
「……凪の実母の名前は旭さん。父子家庭で育った、シングルマザーだった。……颯輔さんは旭さんの、恋人だったんだ」
彗の低音の声が、厭でもリビングに響く。
彗が喋る度、リビングを包む空気がより一層重みを増して。俺と有須の体を容赦なく圧した。
「……颯輔さん子供好きで、実家の近くに大きい公園があって。そこで2歳の凪に会って、旭さんに出逢ったんだ。颯輔さんが18歳の時、旭さんが22歳の時」
……そういうことか。颯輔さんが、凪が生まれた時16だと言ったのは、ただの単純計算。
俺の周りでは中高生の女子が妊娠しただの、男子が妊娠させただのたまにあったから、驚きはしたけど、疑問には思わなかった。
彗はできるだけ簡潔に言おうとしてるのか、少し考える素振りを見せながら、続けていく。



