僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「お前が父方の祖父母のとこじゃなく、親戚の家を転々としてたのって、お前の親父が勘当されてたからなんだろ? 凪が生まれた時に颯輔さんが16なら、颯輔さんも勘当されてたってことだよな? ……颯輔さんがお前を引き取る時、いろいろ忙しかったって凪は言ってたけど」


……さすがだと言うべきなのか。でも、全部当たってるわけじゃない。


「緑夏さんは25歳。見た目通り、凪の実母じゃないよ。……実母は、凪が3歳の頃に亡くなってる。颯輔さんが俺を引き取る頃多忙だったのは、自分の会社を立ち上げてまだ1年目だったからなんだ」


そう、男手ひとつで凪を育てて、会社のこともあったのに、颯輔さんは俺を引き取ってくれた。


凪と過ごす時間のほうが圧倒的に多かったけど、昔からずっと颯輔さんの笑顔は変わらない。


疲れてないわけがないのに、それを見せたことなんか一度もなかった気がする。


「……ふたりとも、颯輔さんをどんな人だと思った? ……悪い人には思えないでしょ。優しくて明るくて、愛嬌があって。昔から誰にでもそうなんだ」


ブォーッという低いファンヒーターの音が、静寂の空気に入り交じる。


5歳の頃、凪とストーブの前で寝転んでいたことを思い出す。


何を話していたかは覚えてないけれど、向かい合って、頬杖をついて、凪がずっと笑顔だったことだけは、覚えてる。


そんなことをぼんやりと思い出しながら、俺はふたりに視線を向けた。


「俺の親戚がここに来た時、おじさんが凪を見て言ったこと、覚えてる?」



『……君が、狂人の娘か』


「親族の間で、両親にでさえ、颯輔さんは狂人って言われてる。……颯輔さんはね、昔から頭がよくて、人の中心にいる人だった。でも俺の父さんが勘当されて……ああいう人だから、どうにか和解させようと思ったんだけど、中々難しくて。未だにダメみたい」