僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「……母さんの両親は体が弱くて、早く孫の顔が見たいって、俺を生むことを切望してくれた。……でも父さんの両親は、俺の祖父母は大反対で、勘当されたんだって」


でも母さんと父さんは、本気で想い合っていたから。駆け落ちするみたいに、母さんの両親と共にイギリスへ行った。


「……イギリスはね、結婚許可年齢が男女とも16歳なんだ。色々大変だったらしいけど、母さんは故郷で俺を生んで、父さんは慣れないイギリスで働いて、祖父母は俺をかわいがってくれたって。でも俺が生まれて半年と、それから1年後に、祖父母は亡くなって……俺が2歳になる前に、日本に戻って来たって」



まるで夢物語を聞くみたいに、ふたりは黙って、俺の出生話に耳を傾けていた。



「俺が5歳の時に、両親が亡くなったって話したけど。俺の持ってる遺産は、母さんが祖父母から受け継いだものなんだ」


……俺の家族の話は、このくらいで大丈夫だろう。実際、颯輔さんから聞いた話で、俺自体はそんなに記憶していない。


祠稀と有須が、俺の出生をどう思うかなんて自由だし、どう思われても俺は自分の出生を恥じてはいない。


父さんが若かっただけ。たったそれだけのことだ。避妊云々の話は聞く耳を持てるけど、若さについてどうこう言われる筋合いはない。


記憶が曖昧でも、俺は愛されて生まれてきた。それだけはきっと、胸を張って言える。誇りにさえ思う。


でも今は、そんな話をふたりにする必要はない。今ふたりに必要なのは、凪の話だろうから。


……何から、話そうか。


「緑夏さんって、いくつ?」


少し考えるように間を置くと、祠稀はほぼ確信したように聞いてくる。的を得た質問だと思う。勘のいい祠稀なら、まずそこに辿り着くんだ。