僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「水持ってきて! タオルも!」


それだけ告げると、俺は嫌がる凪の顔を水面に近付ける。


「凪……お願いだから口開けてっ」


ブンブンと首を振る凪に、じわりと涙が浮かぶ。


俺はそれを我慢して、凪の口を無理矢理抉じ開けた。


「ぐ……んー! っや! ……うっ、え……ゲホッ!」


人差し指と中指を凪の喉奥に差し込んで、吐き気を誘発させる。


後ろから凪の体を抱き締めたまま、強く指を噛まれる痛さなんて気にせずに、飲んだ眠剤を吐かせ続けた。




「……っう、ゴホッ、ゲホッ!」


大分吐き出してくれて、凪の口から指を引き抜き、薬を流す。ジャーッと音が鳴り、手を洗ってから振り向くと、水とタオルを持ったふたりと目が合う。


うまくできたかは別として微笑み、それらを受け取ると、もう一度しゃがみ込んだ。


凪の顔にタオルを押し付けると、黙ってタオルを掴んでくれたことにほっとする。


「凪……水飲んっ」


バシッ!と手を叩かれ、落ちたペットボトルが床に水溜りを作る。


見ると、凪は俺を思い切り睨んでいて、口元にタオルを宛がう手は震えていた。


俺は表情を変えず、凪の睨みを受ける。涙の浮かぶ瞳に怖さを感じろというほうが無理だ。


そっと伸ばした手は案の定叩き落され、それでも伸びて来る手を、凪は無我夢中で拒否する。


「触んないで……っやめてっ!」


めげない俺に、凪はタオルさえも投げ付けてきて。俺の体さえも叩いて、押して、遠ざけようとする。