「水持ってきて! タオルも!」
それだけ告げると、俺は嫌がる凪の顔を水面に近付ける。
「凪……お願いだから口開けてっ」
ブンブンと首を振る凪に、じわりと涙が浮かぶ。
俺はそれを我慢して、凪の口を無理矢理抉じ開けた。
「ぐ……んー! っや! ……うっ、え……ゲホッ!」
人差し指と中指を凪の喉奥に差し込んで、吐き気を誘発させる。
後ろから凪の体を抱き締めたまま、強く指を噛まれる痛さなんて気にせずに、飲んだ眠剤を吐かせ続けた。
「……っう、ゴホッ、ゲホッ!」
大分吐き出してくれて、凪の口から指を引き抜き、薬を流す。ジャーッと音が鳴り、手を洗ってから振り向くと、水とタオルを持ったふたりと目が合う。
うまくできたかは別として微笑み、それらを受け取ると、もう一度しゃがみ込んだ。
凪の顔にタオルを押し付けると、黙ってタオルを掴んでくれたことにほっとする。
「凪……水飲んっ」
バシッ!と手を叩かれ、落ちたペットボトルが床に水溜りを作る。
見ると、凪は俺を思い切り睨んでいて、口元にタオルを宛がう手は震えていた。
俺は表情を変えず、凪の睨みを受ける。涙の浮かぶ瞳に怖さを感じろというほうが無理だ。
そっと伸ばした手は案の定叩き落され、それでも伸びて来る手を、凪は無我夢中で拒否する。
「触んないで……っやめてっ!」
めげない俺に、凪はタオルさえも投げ付けてきて。俺の体さえも叩いて、押して、遠ざけようとする。



