「はーっ、おいしかった! みんな料理上手なんだねぇ~」
夕方6時半過ぎ、夕食を囲んでいたあたしたちはパパの嬉しそうな声に笑う。
ダイニングキッチンには椅子が4つしかないため、リビングのテーブルで夕飯を食べた。
「ま、凪に扱かれてるんで」
「同居始めてから、たくさん覚えたんですよ」
「……凪は家事の鬼だから」
「最後だけ聞き捨てならないなぁ~。彗く~ん?」
「ダメだよ凪、女の子らしく! ねっ!」
隣に座っていたパパに肩をぽんと叩かれ、あたしは持っていた箸の先をパパの眼前に向ける。
「パパは親父くさくなったよねぇ?」
「あぶっ、危ない凪! 箸は人に向ける物じゃありません!」
「凪っ、ダメだよ仲良くしなきゃ!」
有須に注意され、渋々箸を下ろす。
「ありがとう有須ちゃ~ん。凪って怖いよね? 鬼だよね? そういう時は今みたいにガツンと、イッタァ!」
思い切り後頭部を叩くと、パパは頭を押さえて涙目になる。
何するの?って訴える小動物みたいな目は、彗に見えてしまった。
「もうやだ~、パパ早く帰ってよー」
「ヒドイ、泣く」
「はは! 颯輔さんってマジで父親に見えなくね?」
「えー、若いって言ってる? 嬉しい!」
祠稀、若干顔にウゼェって書いてあるよ。ものすごく分かるけどね。



