僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「えーと、改めまして? 凪の父親の、夢虹 颯輔です」


ゆらゆらと上昇する湯気が、まるで補正の役割を担ってるんじゃないかと思うほど無邪気な笑顔。


祠稀は相変わらず間抜け顔で、有須は恥ずかしそうな顔でパパを見ている。


綺麗なアーモンド形の二重にかわいい笑顔。童顔な顔は、年齢不詳にさえ感じさせる。


「あの……失礼ですけど、何歳っすか?」

「ん、俺? えっとね、今年で32歳だよ~」

「わっか! ……は? え、凪が生まれた時、何歳?」

「簡単に言うと16だね」

「ゲホッ! ……す、すいませ……ビックリして」


有須がむせたことで、いかに変なことか分かるだろうに、パパはにこにこと笑っていた。


どこまでも緊張感がない人の代わりに溜め息をついて、有須と祠稀に声をかける。


「若いだけが取り柄のオッサンでごめんね」

「え、凪? 俺まだ31だよ」

「若いだけが取り柄のオッサンでごめんね」

「2回も言う!?」


「ヒドイ……」と彗に慰めてもらおうとするパパを見て、ずっと驚いていた表情の有須と祠稀が笑う。


「颯輔さんって、彗の親父の兄貴なんだろ? あんま似てないっすね」

「えー、でもちょっとは似てるでしょ~?」


子供っぽい、気が抜ける話し方に、祠稀は同年代と話すように会話を始める。それに時たま有須が加わって、あたしと彗が笑って、明るい時間が過ぎて行く。


何度目か分からない飲み物を淹れた時、パパが「さて」とテーブルに肘をついた。