「逃げんな……ほら」


グッと腰を引き寄せられ、中を掻き回す激しさが増していく。その痴態を見たことで、視線を逸らしても昇り詰めていくあたしの体。


「サ、ヤ……もっ、無理」

「はーやいなぁ……まあ、嬉しいけどね」


それだけ言うと、サヤは増やした指の腹で最奥の内壁をえぐった。


あられのない声を上げ続け、わけが分からなくなるほど快感を貪っても、強い刺激を、これ以上ない激しさを求める。


あたしの体を知り尽くしたサヤは、絶えることなく快感を与えてくれた。泣きそうな声で名前を呼んで、背中に爪を立てても、最後まで優しい男。


何度目か分からない絶頂を迎えると、くたっとサヤの胸に倒れ込んだ。



珍しく意識を手放さなかったあたしの髪をサヤは口で掻き分けて、額にキスを落とす。


お互いの荒い息が交わることはない。ただ心地よい体のダルさに、身を任せていた。


乱れた制服も直さず、あたしはサヤの鼓動に耳を澄ませる。すると、顔をあたしの首に埋めていたサヤが僅かに動き、首筋に吐息を感じた。


「……見えるとこに付けていい?」

「……」


キスマークのことだと分かっていたけれど、あたしは頷きもしなければ返事もしなかった。


好きにすればいい。なんて、パパに見られたらまずいのに、そう思ってしまうあたしはいよいよ壊れ始めたに違いない。


でももう、疲れた。なんだかすごく、疲れた。


求めたのはあたしなのに、虚しくて仕方がない。こんな行為に、意味なんてないのに。


「……っ……う、」


あたしが嗚咽を漏らすと、耳元で囁かれた言葉に目を見開く。


「……何っ……イッ……タ!」


ざらりとした舌の感触の次に、噛みつかれた痛みに眉を寄せる。首筋に吸い付く唇に、あたしは快感を得ない。



静かに目を閉じて、隠れるか際どい場所に、花が咲くのを待った。