「逃げろっ!」
そう叫んで走り出す祠稀に、あたしたちは後ろを振り向くことなく後に続いた。
「「待て日向ーーー!」」
バタバタと地を響かせる複数の足音に焦りが募るから、文句のひとつも言いたくなる。
「祠稀のボケ!!」
「あぁ!?」
「あんったねぇ! これで何度目よ!」
「知るか!」
知るかじゃないわよこのバカ! 一緒に逃げなきゃならないあたしたちの身にもなりなさいよ!
「し、祠稀、1回くらい謝ったほうがいいんじゃないっ!?」
走りながらそう試案する有須に、祠稀は考えるように眉を寄せるも鼻で笑った。
「今さらだろ」
「っのボケ!」
バシン!と祠稀の背中を叩き、好奇の目で見てくる生徒たちの横を通り抜ける。
「何すんだよイテェな!」
「少しは反省しなさいよ!」
入学して以来たいした問題も起こさず大人しくしてたと思ったら、サボりまくるは遅刻はするは、補習に出てないと思ったら上級生と喧嘩してるし!
挙句また窓ガラス割っちゃってさ! 何してんの!?
逃げ回る祠稀のせいで、一緒に住んでるあたしたちが呼び出されるんだから!
「…ははっ。見て、先生たち凄い顔」
「黙りなさい彗!」
今日という今日は、説、教っ!