「凪が望むなら。……先にイッてもいいけど、俺は続けるからね?」


そう言われた瞬間、容赦なしに重みのある質量に突き上げられた。


「……っ、あ、……っ!」


薄いゴムのせいか、生々しい感触のそれが大きくグラインドし始めて、声が震えた。打ち付けられるたび、突き抜けるような快感が背中を走り抜ける。


「……苦し……っ」

「はっ、好きでしょ……苦しいのっ」


あたしを見下ろす両の目が、情欲の色を孕んで。嬌声を上げるたびに、厭らしく口の端を上げられた。


ラブホテルの一室に響く水音と荒い息使いは耳まで犯し、生理的な涙を流しても、与えられる快感に陶酔する他ない。


熱を持つ体をどうにかしてほしくて。募るばかりの想いを消してほしくて。


強い刺激に焦がれるあたしは、相当頭がイカレてる。


欲しいのは、こんなものじゃないのに。本当は、セックスなんて必要ないのに。


一緒にいれば、そばにいられたら、それだけで充分なのに。あたしは、あたしを、サヤに植え付けたい。


あたしなしでは生きていけなくなるほど、求めて欲しい。



「……っサヤ、あ、イッ……あぁっ!」


体が震え、突っ張っていた体が力を失っても、行為は続けられる。幾度も、幾度も、離れていた分埋めるように。


沈んで、堕ちて、朽ちて。

いっそこのまま死んでしまいたいと思うほどに。



『子供ができたんだ』


そう言ったサヤの幸せを、感じ取ってしまわないように。



あたしはこの晩、泣きながら、幾度も果てた。