「ああ、遊志の奴まだ浮かれてるだけだから、気にしないほうがいいよ」
「は? まず、凪が遊志を好きだとかいう心配は一切してねぇから安心しろ」
「傷ついた……今のは傷ついた……ダブルパンチはアカンでふたりしてぇー!」
うぜぇな、知らねぇよ。てか浮かれてるって、なんでだよ。
煙草に火を点けると、大雅も咥えたのが見えてジッポを差し出す。
「どうも」と受け取る大雅を見てから、遊志に視線を移した。
「聞いて驚けや、祠稀!」と、いきなり声を荒げたから。
「俺はな、凪に“いなくなったら凄く寂しい”って言われたんやで!」
自信満々に、得意げな顔をして言う遊志に、どうせ夢オチだろと言えばよかったのに。いつもの俺なら、そう言えるのに。
遊志を見上げたまま、固まってしまった。
「……ん? なんや、そないにショックか。せやろ~? 俺、愛されてるんやね」
「……祠稀くん?」
「ちょ、どっちか突っ込んでぇや!」
いなくなったら、凄く寂しい……?
「っ! ……ウゼェ」
「おいおい、大丈夫かいな」
いつのまにか短くなっていた煙草の先が指に触れ、音もなく地面に落ちた。
軽く火傷した中指をさすって、横たわる煙草を睨む虚しさ。
行き場のない、怒りなのか困惑なのか、どうしようもない思いが溢れ出る。
時を同じくして、授業終了のチャイムが鳴り響き、残響だけが残るのを確認して口を開いた。



