僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「祠稀! それ僕のだってば!」

「あぁん!? 俺のだっつーの!」

「ストップー! もうひとつ淹れるから!」


騒がしい声に目が覚めるも、温もりが体中を縛り付けるから、再び瞼を閉じる。


腕の中にいる凪は微動だにせず、お互い眠りについたままの状態であることが、少しおかしい。


全部は聞き取れない会話がドアの奥から零れてくる。それが耳の奥をくすぐって、時刻を確認するために重い瞼を開けた。


自分の携帯を取るには腕枕をやめなければいけないため、そっと右腕で凪の頭を支えて僅かに持ち上げる。


無事に抜けた左腕に微かな痺れを感じたけれど、凪の目が覚めないことにほっとした。


右腕で凪を抱きながら、テーブルに置かれた携帯に目いっぱい腕を伸ばす。


……7時46分。学校に行くなら、そろそろ起きなくちゃいけない時間。


俺はまだ寝てる時間だけど、凪は違うからな……。


どうしようかと思いながら携帯を置いて、再び凪と向かい合う。


化粧っ気のない顔は幼く、整えられた眉毛に、少しカールした睫毛。遮光カーテンのせいで輪郭はぼやけていたけど、改めて綺麗な顔だと思った。


このまま起きずに寝ちゃおうか。なんて、物ぐさなことを考えて凪の頬を撫でる。


「……んん、」


避けるでもなく嫌がるでもなく、ほんの僅かな隙間を埋めるようにくっ付いてくる凪に笑みが零れた。


本当に今日は学校がどうでもよく感じて、再び凪を抱き締めて瞼を閉じた時、バンッ!と部屋のドアが開いた。