僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「凪!」

「……、チカじゃん! なんでー!?」


眠そうな顔をしていた凪は、駆け寄ってきたチカを確認するとパッと笑顔を見せる。


俺はそれを横目で見ながら、チカが飲みほした珈琲カップを持ってキッチンへと向かった。


「枢稀がスパルタなんだよっ」

「あは! それで逃げてきたんだ?」

「そうだよ。僕もう本当に疲れたんだ」

「じゃあ泊まってけば? あたしのベッドで寝ればいいよ」


ズルッと落ちそうになった珈琲カップを慌てて持ち直す。落とさなくてよかったと思うより先に、凪を見てしまった。


にこにこと笑う凪に、チカたち3人はポカンとしている。


「子供扱いしないでくれる!?」

「え? してないけど?」

「……凪、勘違いされてるよ」


そう言った俺を不思議そうに見て、凪は「ああ!」と納得したように手を叩く。


「違う違う! どうせチカ、祠稀と夜更かしするでしょ? ウチ客用の布団ないからさ、寝る時はあたしのベッド使いなよってこと」

「そしたらお前はどこで寝んだよ」


チカがほっとしたような表情を見せると、祠稀はすぐさま分かり切ったことを問う。


凪はもちろん、当然という顔で俺のことを指差した。


「彗の部屋に決まってるじゃん」


俺は特に何も言わずに、凪のマグカップを食器棚から取り出す。


祠稀のイラッとした顔と、有須の複雑そうな表情は、すぐに頭の中から消した。