僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「俺が助けてやるって……言っただろ!」


……どうして、みんな平等に幸せになれないんだろう。


どうして、悲しいことが、つらいことが世の中にはあるんだろう。


簡単に受け入れられない、耐えがたい苦しみを、与えるんだろう。


それでも、乗り越えなきゃならないのは分かっていても。人はいつだって不器用で、うまくいかない。


自分が選んだ道でも、正しかったのかなんて、選んだ後じゃなきゃ分からない。後悔しても時間は戻らないし、過去は変えられない。


それでも。
それでも、生きていくなら。


止まらない時間を、これから過ぎる時間を、どう生きるのか考えなきゃいけないんだろう。


どれだけ苦しくても、つらくても、過酷な選択を迫られても。


彷徨いながら、泣きながら。生きていく覚悟を、チカはしたんだ。


「……連れてかれるふたりを見ながら、ごめんって思ったけど、後悔はしてない。……ちょっと、してるけど。でもやっぱり、僕はこれでよかったと思う。……祠稀が決めることだから、僕はもう何も言わない。それは、好きに使っていいよ」


俯いたまま、そう言うチカの言葉は、祠稀にはどう伝わったんだろう。


親は、親だ。いくら嫌いでも、憎んでも、それは紛れもない事実で、変えられない。


チカの言うとおり、方法なんていくらでもあるかもしれないけど。自ら通報することは、虐待されたことよりもつらく、苦しいものに思えた。