僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



どうしよう……。


彗と有須は、祠稀の着替えなどを取りに一度家に帰ってしまって、その後大雅と遊志と合流して戻ってくるまで、まだ時間がかかるはずだ。


「…それ、何?」


窓際に立ったチカに、とりあえず気になっていたものを尋ねる。


チカの手に持たれた、A4の茶色い封筒。中身が分からないことと、チカが泣き腫らした目をしてることが、不安を募らせる。


チカは黙って、まだ意識の戻らない祠稀の寝顔に意識を集中しているだけ。


そのままチカを見つめていると、チカの頬に涙が流れたのが分かった。


声をかける前に届いた言葉はとても小さく。でも、確かに聞こえたそれをもう一度聞き返してしまう。


「……祠稀を、救いたいんだ」


そう言うチカの声は真剣そのものなのに、チカの瞳からは絶え間なく涙が流れていた。


その、茶色い封筒が祠稀を救うものなのかな。だとして、その手立てをそろえたのなら、どうして泣くんだろう。


不思議に、少し怖くなって、詳しく聞こうとした時だった。


「――っ祠稀!」


ベッドに駆け寄ったチカに、あたしも自然と視線を移す。


「祠稀っ! よかった……!」


昨晩から閉じていた瞼が開かれて、あたしとチカを交互に見ている。


祠稀が、目を覚ました。