どうしよう……。
彗と有須は、祠稀の着替えなどを取りに一度家に帰ってしまって、その後大雅と遊志と合流して戻ってくるまで、まだ時間がかかるはずだ。
「…それ、何?」
窓際に立ったチカに、とりあえず気になっていたものを尋ねる。
チカの手に持たれた、A4の茶色い封筒。中身が分からないことと、チカが泣き腫らした目をしてることが、不安を募らせる。
チカは黙って、まだ意識の戻らない祠稀の寝顔に意識を集中しているだけ。
そのままチカを見つめていると、チカの頬に涙が流れたのが分かった。
声をかける前に届いた言葉はとても小さく。でも、確かに聞こえたそれをもう一度聞き返してしまう。
「……祠稀を、救いたいんだ」
そう言うチカの声は真剣そのものなのに、チカの瞳からは絶え間なく涙が流れていた。
その、茶色い封筒が祠稀を救うものなのかな。だとして、その手立てをそろえたのなら、どうして泣くんだろう。
不思議に、少し怖くなって、詳しく聞こうとした時だった。
「――っ祠稀!」
ベッドに駆け寄ったチカに、あたしも自然と視線を移す。
「祠稀っ! よかった……!」
昨晩から閉じていた瞼が開かれて、あたしとチカを交互に見ている。
祠稀が、目を覚ました。



