僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



◆Side:有須


夜8時を回った頃、枢稀さんは先生たちと一旦落ち合い、見回りの成果は特にないということで解散した。


先生たちが飲み会をやらずに解散していくのを遠目から確認していた彗は、威光のメンバーに連絡を入れて、引き続き祠稀を探すように連絡を入れているところ。


あたしは枢稀さんがこちらに戻ってくるのを見ながら、鳴り出した携帯を耳に当てる。


『有須!!』

「凪!? 今、どこに…」

『祠稀が……! あた、あたし……っ』

「祠稀見つかったの!?」


あたしの大声に彗が反応して、近付いてきていた枢稀さんも目を見開く。


『今、病院……で、ごめん……さっきまで、家に……』

「病院…? 家って、どこの……待って、凪、落ち着い……」


言いかけた言葉が遮られたのは、彗が「貸して」と手を差し出したから。あたしは黙って彗に携帯を渡して、枢稀さんと目を合わせる。


「もしもし凪? 俺。……落ち着いて。ゆっくりで大丈夫だから。……うん」


彗が凪から情報を聞いてる間、あたしも枢稀さんも、彗の横顔を見てるしかなかった。


「……祠稀、病院に搬送されたって」


電話を終えた彗の言葉を理解するのに時間がかかる。


それは枢稀さんも同じようで、彗はあたしに携帯を返しながら、凪に聞いた話を付け足した。