「……絶対、ひとりで探してると思いましたよ。他の先生は知らない、祠稀がよく行く場所を探してるって。……祠稀を見つけて、何か傷を抉るようなことを言って、その間コソコソと携帯で先生たちを隠れて呼ぶつもりだったんでしょう?」
見開かれる目が正解だと思わせる。
簡単なことだ。ジワジワと追い詰めるタイプで、それ以上に怖がりで。しくじらないことばかりに必死で、俺たちが見えてなかった。
「祠稀を退学に追い込みたいんでしょう? ……あなたは姑息で、弱いですね。祠稀とは真逆。他の誰かの手を借りて借りて借りまくらなきゃ、何もできない。自分を守ることでしか、一生懸命になれない」
淡々と言葉を吐きだす俺を、枢稀さんは食い入るように探るように見つめてくる。
怒っているのか、怯えているのか。答えは、どちらもだろうか。
「虐待して、荒れた祠稀を一度は家から追い出したのに、どうしてまた家に戻す必要があるんですか」
虐待という言葉を出した時に、枢稀さんの体がビクリと跳ねた。俺はやっぱりと思って、枢稀さんに近付いていく。
その心に秘めてるもの。
祠稀とチカから聞いた話を考えれば、導き出せる。



