僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「……祠稀、お願い」


そっと祠稀の手に触れると、ビクリと祠稀の肩が強張った。


あたしの存在を確認した祠稀の瞳は揺れている。今にも涙が溢れそうなほど、どうすればいいか分からないと嘆いてるようにも見える。


その視線が、あたしには頼ってくれたように思えた。


「……今思ったこと、言って。過去も、ヒカリさんのことも、復讐のことも威光のことも全部1回忘れて、真っ先に思ったこと」


言って。

簡単じゃないかもしれないけれど、それを言えば、変われる。


たったひと言が踏み出す勇気になる。口に出せば、それが覚悟になる。



あたしを見つめていた瞳から、まっすぐと落ちた泪。


祠稀を縛り付ける真っ黒なものなんかより、何倍も綺麗な透明の雫。



「……逢いたい……」


ピアスが光る唇から紡がれた言葉は本当にひと言。でも、充分だった。


「うん、逢いに行こう」


あたしは微笑んでから、祠稀の手を引いて歩き出す。


大きく大きく、1歩、また1歩と。



闇夜に浮かぶ月が、どうか祠稀の心までも照らしてくれますようにと、祈りながら。