僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「祠稀、あたしは復讐してほしくないの。そんなことする暇があるなら、逢いに行ってほしい人がいる」

「……」


悩んでる、揺らいでる。


それでいい。
復讐よりも、祠稀が守るべきものを、守ってほしいから。



「祠稀のお母さん、病気で入院してる」


俯きがちだった祠稀の表情は読みづらかったけれど、微かに反応したのを見逃しはしなかった。


「手術しないと危ないんだって」

「――…何、言って……」


あたしの瞳を見ないまま、祠稀はひとり言のように呟く。戸惑っているのが手に取るように分かった。


「……ねぇ、祠稀。愛された記憶はあるでしょう?」


確かにお母さんは虐待から守ってくれなかったかもしれない。


でも、どこかで。どれだけ些細なことでも、朧げな記憶でも。


愛されていると感じたことがあるから、お母さんのことを大人しい人だって言ったんじゃないの?