僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「……うるせぇんだよ、黙れ、黙れよ……っ」


……あたしが泣いちゃ、ダメだ。


堅く閉ざされた祠稀の心に、遠慮もなしに土足でズカズカと入りこむあたしに、泣く権利なんかない。


「そうやって自分を責めて終わりなのかって。祠稀、あたしに言ったよね」


彗の親戚のことで泣いていたあたしに、なんて言ったか覚えてるでしょう?


過去なんてどうでもいいと。過ぎたことをいつまでも悔やんで、どうにかなるのかって。


過去は変えられない、大事なのは今だと。そんな言葉が出てきたのは、祠稀もそう思ったことがあるからでしょう?


どれだけ一時でも、復讐なんて言葉、忘れられたからでしょう?


復讐なんてしないで。
前を見て歩こうと、もう一度思ってよ。


階段の手すりを殴った手で顔を覆う祠稀に、あたしはグッと涙を堪える。


「ねぇ……祠稀にはいるじゃん。苦しいって、つらいって伝えられる人が。……いるのに、伝えないのも、受け入れないのも祠稀でしょう」


黙ったままの祠稀に、あたしは奥歯を噛み締めた。


怒りにも似た感情が、洪水のように胸に押し寄せたから。