僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「偽善者らしい答えだよ。博愛主義、愛他主義。凪が誰でも平等に、広く愛して優しくしてやんのは立派だと思うぜ? ……でも、吐き気がすんだよ」


そう。それで?
だから、何?


そんな言葉しか思い浮かばないあたしは、どれほど自分勝手なんだろう。でも止まらないの。もう止めることができないの。


祠稀。

あたしには、祠稀が強がってるようにしか見えない。


「偽善だって感じるのは、祠稀が自分を不幸だと思ってるからでしょ」


呆れたように視線を落としていた祠稀がピクリと反応し、ゆっくりとあたしを見据える。驚きにも、戸惑いにも、怒りにもとれる表情を浮かべて。


「……何? 今……、はは……勘弁しろよ」


額を抑えて俯く祠稀の目の前まで、あたしはやっと詰め寄った。


これが、あたしの望む距離。誰よりも近く、誰よりも深く、あたしは祠稀のそばにいたい。


例え祠稀が、望まなくても。


さらりと流れるように、ひとつまみほどの前髪が祠稀の顔にかかる。


そのままあたしを睨んだ祠稀の瞳に潜んでいたのは、怒りではなかった。


「お前みたいな奴にだけは、言われたくねぇよ……」


振り絞るような、唸るような声色すら、


あたしには今にも泣き出しそうな声に聞こえるんだ。