「ははっ。何言ってんの? 大丈夫か、凪」
いつも笑う。
どんな時も、いかなる時でも。
興味なさそうにしておいて、広い心を持って人に接して。強い者を挫き、弱い者を助ける。
祠稀は本心で、自分の意思でしてると思う。だけど祠稀は悩んでるんでしょう?
本心ではないと、本心であると。復讐か、威光か。葛藤して、悩んで、でも答えなんて出なくて。
「しんどいからやめるの? 考えること」
ほんの2メートルほどしか離れてない、あたしと祠稀。でもきっと、祠稀はこれくらいがちょうどいいんだ。
遠すぎず、近すぎず。
浅くはなくとも、深くはない関係。
祠稀は、そのほうがいいんでしょう? そのほうが、楽なんでしょう?
「それって逃げてるだけじゃん」
「……は? 俺が、逃げてる?」
祠稀が苛立つのが分かったけれど、あたしは少しづつ距離を縮める。ゆっくり、でも確実に。
「守るものができて何が悪いの?」
近付くあたしを、祠稀はもともと切れ長の瞳を細めて睨んでくる。それとも、あたしの心の中でも読もうとしてるんだろうか。
そんなことできっこないと分かっているからこそ、あたしは口に出せる。
怒りをぶつけられても、嫌われても。あたしは、あたしが信じた道を進もう。そう、決めたから。



