僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「……き、祠稀っ!!」


肩を掴まれて、両目から何か冷たいものが、ボロッと落ちた。


やっとヒカリを捉えたのに、俺の視界はまたぼやけて。


それが涙のせいであると理解した時は、ヒカリの死も理解してしまった。


「あ……あ……ヒカッ、ヒカリ!」

「祠稀っ、お前動くな! 怪我して……」

「ヒカリ!!」


嘘だ、嘘だ。
こんなのは夢だ。

死ぬわけない、ヒカリが死ぬなんてありえない。なんで、こんな……嘘だ、夢だ。


「ヒッ、ヒカリ……なんで、目ぇ開けろよ……」


動かない、僅かにも。


俺に見せた笑顔は幻だったように、面影は欠片もない。



「……う、あ……」

「祠稀、落ち着け……し……」


「あああああああああ!!!!」





はらり、はらり、椛が舞う。

餞のように、ただゆっくりと。

風は吹いてないのに静かに落ちる紅は、残酷に思えた。



―――秋の宵闇。

唯一の光は、輝くのを已めた。